「いざという時に元栓が回らなくて困ったという依頼が、実は一番多いんですよ」と、水道修理に携わって30年のベテラン職人は語ります。元栓は日常的に動かす場所ではないため、10年、20年と放置されることで、水道水に含まれるミネラル分が固着したり、金属部分が錆び付いたりして、石のように固くなってしまうことが珍しくありません。特に地中に設置されたメーターボックス内の元栓は、湿気や土砂の影響を受けやすく、劣化が進みやすい環境にあります。もし、緊急時に元栓を回そうとして抵抗を感じたら、決して無理な力を加えてはいけません。力任せに回すと、バルブの軸が折れてしまったり、配管の接続部が損傷して地中で大量の噴出を招いたりするリスクがあるからです。職人が教える対処法としては、まずハンドルの隙間に浸透潤滑剤を吹き付け、数分間放置してから、ハンマーなどで軽く振動を与える方法があります。これにより固着が解け、スムーズに回るようになることがあります。しかし、それでも動かない場合は、そこから先はプロの領域です。専門業者は専用の工具や熱を用いた手法を駆使して、安全に固着を解消します。また、職人は元栓の「内部漏れ」についても注意を促します。ハンドルは回るのに、家の中の水が完全には止まらないという状態です。これは元栓内部の弁が摩耗している証拠で、これでは緊急時の役割を果たせません。元栓の寿命は一般的に15年から25年程度と言われており、もし一度も交換したことがないのであれば、点検を検討すべき時期かもしれません。自治体によっては、元栓から道路側の本管までの漏水や故障については水道局が費用を負担してくれるケースもありますが、元栓本体やそれ以降の宅内配管については居住者の責任となるのが一般的です。日頃のメンテナンスとして、半年に一度は元栓を左右に数回動かして「回し癖」をつけておくことが、最悪の事態を防ぐための最も効果的な予防策となります。家全体の水の流れを司る重要な部品だからこそ、信頼できるプロと繋がっておき、常に完璧なコンディションを保っておくことが、住宅全体の健康維持に直結するのです。
水道修理業者が語る元栓が固着して回らない時の対処法